有名歌人も詠んだ!いたち川保全へクラウドファンディング 9月末まで【横浜市】

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横浜市は「いたち川」(横浜市栄区)の保全を目的として、クラウドファンディング型ふるさと納税を行っている。「吉田兼好の歌にも詠まれた「いたち川」を未来へ~栄区いたち川のみどりの保全・さくら並木の再生~」というプロジェクト名。

クラウドファンディング型ふるさと納税は9/30まで

2025年7月1日から9月30日23時59分まで、「ふるさとチョイスGCF」のウェブサイトで寄附を募っている。目標金額は300万円。横浜市内外の在住者が参加できる(ただし、ふるさと納税返礼品を受け取ることができるのは市外在住者のみ)。

「ふるさとチョイスGCF」のプロジェクトページ(7/9現在)
「ふるさとチョイスGCF」のプロジェクトページ(7/9現在)

寄附金は、老朽化した樹木の診断・管理、さくら並木再生などに使われる(目標金額に到達しなかった場合も同目的に活用)。

市外在住者が寄附した場合の返礼品には、栄区いたち川マスコット「タッチーくん」ぬいぐるみのほか、崎陽軒のシウマイや横浜アンパンマンこどもミュージアムの入館チケット、バニラビーンズのスイーツなどが用意されている。

栄区いたち川マスコット「タッチーくん」ぬいぐるみ(小)・スリムクリアボトルセット
栄区いたち川マスコット「タッチーくん」ぬいぐるみ(小)・スリムクリアボトルセット

また在住地に関わらず受けられる特典として、寄附額1万円以上で横浜市栄区ホームページへの氏名掲載や「タッチーくん」のお礼カード、寄附額10万円以上でいたち川に新設される銘板への氏名掲載が予定されている。

同様のクラウドファンディングには、柏尾川(横浜市戸塚区)の桜並木整備のプロジェクトもあり(募集期間2025/4/3~7/14)、こちらは目標金額700万円に対しすでに870万円を超える寄附を集めている(7/9現在)。

いたち川とは?

動物のイタチが由来かと思いきや、川の名前は「出で立ち(いでたち)」が変化したものと考えられている。鎌倉から京都・信濃・奥州などの各地につながる街道(鎌倉街道)に近く、出立・旅立ちの意味から付いたようだ。

2023/3撮影
2023/3撮影

いたち川は「境川水系」。横浜市内で柏尾川に合流し、やがて藤沢市内で境川に合流する。この川の改修の歴史は古く、昭和45(1970)年度にはすでに着手されていた。河川が流れる幅を広くする改修の後、自然の本来の姿や景観にも考慮した整備も進められ「多自然(型)川づくり」のモデル事例にもなったという。

国土交通省「『多自然川づくり』優良事例集」
国土交通省「『多自然川づくり』優良事例集」

700年余り前、歌に詠まれた

クラウドファンディングのプロジェクト名にあるように、いたち川は『徒然草』の作者・兼好が歌に詠んでいる。今日「鎌倉」は有名観光地であるのに対して、「いたち川」の知名度はどれほどあるだろうか。そう考えると、歌人が詠んだ時代のこの川の存在感に興味が湧く。

およそ700年前、この川は「出で立ち」の地点として、確かに認識されていたらしい。

いかにわが たちにし日より 塵(ちり)のゐて 風だに閨(ねや)を 払(はら)はざるらん
――「兼好法師集」七七番

「相模(さがみ)の国いたち河といふところにて、この所(ところ)の名を句(く)の頭(かしら)に据(す)ゑ(へ)て旅(たび)の心を」とあり、五・七・五・七・七の頭が「いたちかは」と、折句(あいうえお作文)になっている。

「私が旅に出た日からどれほど塵が積もり、人はもとより風さえも閨を払わないでいることでしょう」(『和歌文学大系65』明治書院)と、この地の今と昔に思いを馳せている。

兼好の自撰家集である「兼好法師集」では、この句の前後にも現在の神奈川・静岡を読んだ歌が並ぶ。特に金沢(金沢八景・金沢文庫の周辺)には、兼好が生涯のうち一定期間滞在していたと推測される。

現在いたち川には、遊歩道が整備されている。川沿いを歩きながら、一句ひねってみるのも楽しそうだ。

<引用・参考文献>
横浜市道路局河川部河川計画課『横浜の川』(2018年3月)
「多自然川づくり」優良事例集(国土交通省ウェブサイト)
酒井茂幸・齋藤彰・小林大輔『和歌文学大系65 草庵集・兼好法師集・浄弁集・慶運集』明治書院(2004年7月)
小川剛生『兼好法師』中公新書(2017年11月)

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